

Desigral | デザイラル 編集長
樹神 大輝(コタマ ヒロキ)
Desiral:デザイラル メディア編集部として不定期で更新します。デザイン界隈の最新ニュースからすぐ使えるノウハウまで、わかりやすく紹介。現役デザイナーがトレンドをキャッチアップしながらマイペースにお届けしています。
ChatGPTなど汎用型のAIの登場から3年程度が経過し、様々な業界に浸透しつつある生成AI。生成AIを主軸にしたクリエイティブやデザイン、CMを元とする広告なども登場し度々話題になるものを目にするようになりました。
今回は、私が先日参加してきた「Adobe MAX Japan 2025」の一部レポートも兼ねて、生成AIとデジタルデザインの未来と、プロンプトや制作の手法についての最前線をまとめてお伝えしたいと思います。
ちなみに、「Adobe MAX Japan 2025」では、「生成AIで切り拓くクリエイティブの未来/動画・ビジュアル制作の最前線」というテーマで「株式会社Cyber AI Productions(CAI)」の方のセッションを拝聴してきたので、そこでの情報も合わせて盛り込んでいます。
ChatGPTでも簡単に利用できる画像生成AIの「DALL-E 3(ダリスリー)」や王道の「Midjourney(ミッドジャーニー)」、Adobe公式の生成AI「Firefry(ファイヤフライ)」など、画像生成だけでも様々なサービスが登場してきた怒涛の2023年から2025年。
この期間にどのような進化が進んできたかを整理してみます。
全てを振り返るとなかなか大変なので、わかりやすく特に画像生成だけの分野に限ると以下のイメージがわかりやすいと思います。
ちなみにこの記事のサムネイルも、DALLEを活用しています。

画像生成AIは比較的安価もしくは無料で利用できるツールが多く、多くの人が試しながら進化を続けています。
2023年 | 比較的高品質な画像生成が実現できるようになったが、不気味の谷がまだ顕著なケースも多く、AIっぽさがまだかなり残っている生成AI画像が多かった。 |
|---|---|
2024年 | 人の肌や髪、物体描写などの質感が大幅に向上したことで、AIと見分けがつかない生成AI画像が作れるようになってきた。 |
2025年 | 質感の描写を維持しつつ、画角の多様性や細かい動きをさせても破綻しない生成がだんだんできるようになってきた。 |
特に2024年以降は、人や物体の描写を概ね維持しつつ、一部の色や動き、形を変えたり、部分的な調整ができるようになってきたことは、世のアートディレクターやクリエイターにとっては非常に大きなことだと言えます。

わかりやすく使えるようになってきた事例として、ロゴやブランドの商品のモックアップ生成や、ビジュアル背景の生成分野です。
人がメインとなり細かい描写が必要な商用のプロモーション等に使うにはまだまだ個人の技術力やアイデア、プロンプトの扱いに差が出る印象ですが、提案時に活用するケースやメインではないサブ的なオブジェクトであれば十分実用のレベルを超えてきていると思います。


例えば、「Adobe Firefry」を使うだけでも、商品の置かれている床面を水で満たしたり、水滴を足したりというレタッチャーでも難しいような描画を、AIを使うことで簡単に実現できることが驚異的です。
株式会社Cyber AI Productions(CAI)の取り組みの中でも、実際のスタジオでCMや動画の撮影を行うとき、背景CGを生成AIで作ったもので行うことでコスト面でも大きなメリットがあるとのこと。大量に生成した背景画像の中から、最もリアクションが良さそうなものをAIでさらに予測して採用するといったことも取り組まれているそうです。
生成AIを活用した表現は、どこかAIっぽさが残っているような表現が多かった時代から、かなり高い質のものをコツさえ掴めば誰でも作れるようになってきました。
これによって起こった変化として、AIを使ったクリエイティブの中にも、クリエイターの癖や表現が反映されアウトプットに影響するようになってきたということです。
アイデアやセンスはもちろんですが、構図や細かい色彩の調整ができるようになってきたことで、これまで予算でできなかった表現や手段が拡張され、「Aさんっぽい表現」「Bさんっぽい画像」みたいな印象がつけられるようになってきています。
制作手法も「とりあえず考えてみる」から「とりあえず作ってみる」になり、クリエイティブチームとディレクターが横並びでアイデアをアウトプットし試すことができるようになっていく未来がもうすぐそこまできています。
次に動画生成AIの領域についてですが、動画生成については大きく以下3つの手法があります。
種類 | 生成方法 | 特徴 | ツール例 |
|---|---|---|---|
Text to Video | テキストプロンプトから動画を生成する | 情景やオブジェクトの表現描写から動画をそのまま生成するのですぐに使い始められる。多少破綻してもいいようなスピード感のある描写などには比較的使いやすい。 | Sora/Runway/Luma/Canva/KLING AIなど |
Image to Video | 画像素材をベースにして動きをつけ動画を生成する | 画面コントロールをしやすく、絵力を強く持たせた表現の質を担保しやすい。 | Runway/Luma/KaiBar/KLING AIなど |
Video to Video | 既存の動画を入力としてAIでスタイルを変更し生成する | 複雑な動きや細かい描写はそのままに、顔や服や背景、色など部分的な変更を可能にする。 | 顔入れ替えや人の変更ができるアプリなど |
それぞれに特徴がありますが、実際の制作現場のことを考えた時にコントロールがしやすい意味で言うと、画像から動画を生成するImage to Videoが主流です。
思い描いたアイデアをまずは「Midjourney(ミッドジャーニー)」などを使って画像生成し、それを絵コンテとして動画にした後シーンを繋ぎ合わせるという手法で行うことで、破綻や不確定要素を除去しやすくなり、伝え方や表現を工夫することができます。
今回はDALLEで出力した画像をベースに、RUNWAYのGen3で10秒の動画を作ってみましたが、絵的に破綻はしなかったので繋ぎ合わせれば十分見れる絵になるなと言うイメージでした。

ただし、実際に人の顔をリップシンクして言葉を喋らせたり、人同士が絡みあったりする映像はImage to Videoでもまだ課題があるようで今後の進化に期待です。
ここまで説明してきたことを踏まえると、デザイン表現にAIを持ち込む際はやはり画像の生成をどこまで高い精度で行えるかが鍵となります。
高いクオリティの画像をAIで生成できれば、それをベースに表現をコントロールしたり調整が可能になるというわけです。
ただ、この画像生成はまだまだ人によって精度がばらつきがあり、そのスキルの磨き方は多くの人が言及して日々切磋琢磨しあっている状況なので、どう精度を高めていくかについてこの後お話しします。
画像生成には基本的にプロンプトと呼ばれるテキストから生成することが多いです。そのため、このプロンプトをいかにうまくコントロールするかが画像生成AIを使いこなすコツといえます。
はじめは自分で触ってみて、いろいろ試してみるのが大切ですが、使っているとプロンプトの表現を少し変えただけで大きく出来上がりの生成画像が変化してしまうのがわかってくるのではないでしょうか。
そこでまず試して欲しいのが、画像生成AIのプロンプト自体を、生成AIに作らせるという手法です。
ChatGPTでもGeminiでも構いませんが、使いたい生成AIのツール名に加え、欲しい出力内容を伝えることで生成AIに画像生成AIのプロンプトを考えてもらうという手法があります。
これで精度を高められる可能性の理由としては、LLMが理解しやすい言葉でプロンプトを書いてくれることや、実際に世の中の人が試して成果を発信しているものを学習してくれている点などがあるかと思います。
例えば以下のようなプロンプトで指示を出し、画像生成AIへの入力テキストプロンプトを出力してもらうことが可能です。
あなたは画像生成AIのプロンプトを添削する専門家です。
私が「欲しい出力内容」で最高の出力を得るために、追加するべき効果的な情報の「項目」を手がかりに、足りない情報があれば補足して、最高のプロンプト例を文章で【プロンプト】として出力してください。
【欲しい出力内容】
・ 犬と遊ぶ日本人の子供
・ 犬が2匹と子供1人
《※自分の欲しい出力内容に合わせて調整。》
実際にAIと壁打ちをしながら画像生成AIのためのプロンプトを作り上げていくことができます。
補足情報として、画像生成AIで昨今わかってきたのが、単語だけで指示をするより文章で指示を出すことで精度が上がるといったことがあるようです。理由は細かい接続詞などがある文章の方が描画の情景を正確に伝えられ、情報量が増えるためではないかと言われています。
ちなみにこの記事のサムネイルは、ChatGPTにDALLEのプロンプトを考えてもらい、以下を使って出力しています。

A stunningly beautiful Japanese girl with short black hair, depicted in a highly detailed and realistic anime style. She is gazing slightly upward and to the left, with a soft yet confident expression. The framing is a bust-up shot, capturing her upper body and shoulders. She wears stylish, casual clothing suitable for a futuristic setting, such as a sleek jacket or a modern hoodie. The background showcases a breathtaking cyberpunk-inspired futuristic cityscape, filled with neon lights, holographic billboards, and towering skyscrapers, creating a visually immersive atmosphere. The lighting should enhance the depth and realism, with subtle reflections from the city’s glow illuminating her face. The overall mood should be dynamic yet elegant, making her stand out against the high-tech urban environment.
CAIの中で、登壇者が話していたことの中に、生成が上手い人はどんな人なのかがありました。
これを確かめるために、プロデューサーとアートディレクターに同じ課題で画像を生成してもらい比較をしたそうです。
その結果わかったこととして、生成AIをうまく使いこなすには「ゴールのイメージを先に明確に描くこと」だそうです。
課題の結果としては、アートディレクターの方が比較的短い時間に、AIの特徴をうまくコントロールした質の高いアウトプットを出したそうですが何が違ったのか。
プロデューサーは課題に沿ってとりあえず画像生成を試しながら調整したのに対し、アートディレクターはまず課題に沿ってどんな絵が良さそうか、構図やAIの特徴を考えてアイデアを描き、それに近づける形でAIに指示を出したそうです。
つまり、画像生成が上手い人がやっていることは、明確に作りたいもののゴールを描き、そこへの差分をどうやったら埋められるかというプロンプトを考えていくというプロセスにあるということです。
最後に今回の結論として、ずっと言われている問いに対する考えを書きます。クリエイティブな領域のAIが登場し、人間よりもずっと短い時間とコストでビジュアルや動画が生成できるようになってきました。
しかし、AIはあくまでこれまでの表現を学習して指示に沿ってアウトプットを出す存在です。
指示を出すのは人間であり、その指示の出し方が大事になってくると同時に、実際の完成形をどれくらい明確に思い描いた上でAIを使いこなせるかが、今後のクリエイターやデザイナーに求められる力かもしれません。
また、新しいアイデアを、これまでと比べ圧倒的に安価に短時間で具現化できるツールとしてAIを考えると、クリエイターの拡張機能として新しい手足と捉え、うまくディレクションできるかどうかで差がつくのではないかと思います。
仕事自体は奪われないと思う反面、アイデアやディレクションに強みがある人とそうでないただの制作者としてのクリエイターで大きな二極化は進んでいくのではないかなと思います。
今回の記事では、詳細な生成AIのツールやその使い方ではなく、汎用的な知識をまとめてみました。皆さんの今後のAI活用に少しでも役立つヒントとなれば幸いです。
本記事は、「Adobe MAX Japan 2025」の一部レポートも兼ねて、SESSION「生成AIで切り拓くクリエイティブの未来/動画・ビジュアル制作の最前線」から拝聴した情報をベースにしています。あくまで私が聞いた中での感想を含む内容で整理しているため、誤解や間違いがあればご容赦いただけますと幸いです。
登壇してくださった株式会社Cyber AI Productions(CAI)のお二方に感謝を込めて、文末に記載させていただきます。

Desigral | デザイラル 編集長
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